【音】雛罌粟という「チーム」
バンドという響き自体も、ちょっとしっくりこないけれど、
ユニット?チーム? 他にいい言葉が、
いや「チーム」がいいかも。
チーム、ということにすると、
うたを歌う米須昌代(まーちゃん)とわたしの2人は、
2012年頃から「雛罌粟」というチームで音楽をやっています。コクリコ。
与謝野晶子が夫の鉄幹を追い、5人のこどもを日本に残しパリへ渡るときに詠った「雛罌粟」という詩が、由来。
清少納言(枕草子)・谷川俊太郎・与謝野晶子・立原道造・中原中也など、
日本語の美しい詩歌にどちらかが “勝手に” 曲をつけたものや、
それぞれのオリジナル曲、まーちゃんのルーツである沖縄の民謡を、
うたとコントラバスでお届けする「チーム」。
ライブでは、照明が落とされ開演してステージに立つと、そこからは2人で船を漕いでいくしかない。
予定していた航路があったとしても、お客さんや時間、演奏があれれ思わぬ方向へいってしまったりと、現場では予測不可能なことがわりといつも起こるわけで、
笑顔で音を出し続けていても、
「やばい、あと5分やのにあと3曲ある。どれ(曲)削ろう。」とか、
「ここでMC入れた方がスムーズだな」とか、
「次のソロ、もう一回振ったほうがスムーズかも。」とか、
ぐるぐる進行方向を旋回しているときもある。
何事かが起こった時には、臨機応変さと柔軟性とスーパーハイセンス(ないけど) を駆使して、
2人でテレパシー使って舵取りをしていくしかない。
ありがたいのは、目の前にはお客さんたちが居て、
2人の船頭が作る戦場・・・いや船上のドラマを、次はどんな波かな、音かな匂いかな?
一緒にこの時間を楽しもうと臨んでくださっているのが伝わってくること。
そして、
本屋さん、おいしいごはん屋さん、職人さんのいる家具工房、ギャラリー、陶芸工房、大きなホール、居酒屋さん、カフェ、ホテル、日本家屋のお宅・・。
まーちゃんとはたくさんの場所で、時にはゲストの方の力をお借りしながらステージを一緒に創ってきた。
横向けばそこにいる同志。
その響き合いは、うまく行く時もあればすれ違うこともあって、
だからこそ、2人で、それからお客さんとも、それからその場所丸ごとで同じ方向へ言葉ではなくシンクロニシティを感じて一気に漕ぎ出せたとき、共鳴できたとき、
本当に幸せだな、と思う。
そんな雛罌粟、まーちゃんの子育て期間にお休みをしていて、
昨日は彼女の4年半ぶりのソロライブ。
(ゲスト:片岡さん/津軽三味線)
至近距離で歌うまーちゃんを見ながら、
ギターを持つ手首の筋がしっかりしてきたな、とか全然関係ないこと考えながら、
まーちゃんの歳と自分の歳を想いながら聴いていた。
「お互いの人生の中で、寄り道しながらでも、
おばあちゃんになっても、なんかできてたらいいね。」とは以前からのまーちゃんとの会話で、
それくらい、2人ともいろんなこと寄り道しながらやってる、めっちゃマイペースな「チーム」なのですが、
人生と、音楽と家族への想い、自分への葛藤をずっと抱えながらやってきたまーちゃんが、
「4年半ぶりです!嬉しい!」と雄叫びしながら「おばあちゃんになっても (歌ってたい!)」と、
○○(まーちゃん娘)が見つめる前でマイク握って本当に嬉しそうに話す姿を見たら、
これまで一緒に乗り越え楽しんで、ときどきちょっと険悪になりながらもシェアしてきた
めっちゃいっぱいのステージでの、失敗や恥ずかしさ、誇らしさが一気に押し寄せてきて、
4年半よく頑張ってここまできたね。
あの小さい○○が、よくこんな素敵なお姉さんになったね。
まーちゃんに心の中で声かけながら、
そうか私も一緒に音楽できる日を、こんなにも待ってたんだな、
思いがけず気付いたときには、マスクの下で涙が止まらなくなった。
雛罌粟、ゆっくり今年中にどこかでライブをできたら良いなと話しています。
その時はまたぜひご案内させてください。
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◆雛罌粟◆
米須昌代 (うた)
Yasmine.Handworks (コントラバス)
おーらいレコードよりそれぞれCDをリリースしている米須昌代(歌・ギター)と中村仁美(コントラバス)が2013年・秋に結成。
日本語の美しさに惹かれた二人が現代詩や短歌、オリジナルの詩にメロディーをのせ表現するオリエンタルポップスの世界。
歌とコントラバスというシンプルな編成と、詩や言葉が本来持つメッセージをより深く伝える楽曲、そして古典から現代詩を柔らかに歌い上げるその音色とスタイルは、ゆったりとした独特の雰囲気を醸し出す。
ユニット名【雛罌粟】は与謝野晶子の短歌より拝借。
1st album『コクリコ』
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