精神分析からアートのアプローチへ

5月末、お正月に大げんかをした父への手紙を書いていた。

朝起きて書いて、ごはんを食べてちょっとだけ仕事して、寝て。

また起きて書いて見直して修正して、

ちょっと出かけて用事済ませて帰ってきて、またPCの前に座る。


そんな生活を1週間ほど続けていたら、

手紙はいつの間にか19ページの短編になった。

(自分でも変態かと思うほどの。)


父との喧嘩をテーマに父へと手紙を書く作業は、

こどもの頃の自分までぐーんと遡って内観する作業でもありました。

書き終えることで、何か自分の区切りになるような気がし始め、

「今やらなければ」そんな風に駆り立てられていたように思います。


・・・・・・


タロットリーダーの友人と、公開を待ち侘びていた映画、

アレハンドロ・ホドロフスキー監督の最新作『サイコ・マジック』を観に出かけた。


監督は、Yasmine.Handworksのリーディングで扱っているホドロフスキータロット(広義ではマルセイユ・タロット)の復元者であり、精神分析学を経たセラピストであり、タロロジストとしても第一人者。

言葉で語りかけることでカウンセリングを行う精神分析に対して、クライアントが実際に行動すること=演じること(アートとしてのアプローチ)でこそ癒しが起こるという信念で、「サイコ・マジック」という手法を50年前から実践してきた監督。(下記、作品HPより引用)


〜ホドロフスキーは、自身をフロイトと対置した上で、「サイコマジック」は科学が基礎とされる精神分析的なセラピーではなく、アートとしてのアプローチから生まれたセラピーであると語る。長年にわたり個人のトラウマに応答する一方、本作後半で社会的な実践「ソーシャル・サイコマジック」を展開する様子は圧巻!〜


その、セラピーの実践オムニバス集のような作品でした。


とても良かった。

悲しみや辛さの底から、サイコマジックを通して人が癒されていく課程が、あったかかったです。


(ところで、ここでいう「行動」とは、認知行動療法における「行動」とも違う概念。

言うなれば「腐れ縁のパートナーへのむしゃくしゃする想いを縁切りとともに、トイレットペーパーにペンで書きなぐってトイレに流す。なんならトイレットペーパーを体に巻きつけてぐしゃぐしゃにしてから流す。」の方が近いです。(つ、伝わりますでしょうか。))


出てくるのは、

深刻なうつ患者

自殺企図の止まぬ男性

それぞれに幼少期にトラウマを抱え離婚の危機にある夫婦

母の愛情を受けず育ち今自分自身が母になろうとしている女性

吃音に悩まされてきた男性

婚約者が結婚式直前に飛び降り自殺した女性

深刻な自殺願望が続く男性

など。


体を金ピカに塗って街を歩くことで、

胸の上で何枚もの皿を割り、一度生肉と一緒に土に埋められ鳥葬される体験をすることで、

こどもの服に着替えて遊園地を1日遊び尽くすことで、

ウェデイングドレスを教会で燃やしてスカイダイビングすることで、

ーそれぞれが癒され、過去の囚われから解放され、生きる力を取り戻していく。


「え、それだけで?」
うん、それだけで。
今まで精神分析的なカウンセリングを受けても変われなかった人たちが、変わっていく。
「今」を生き始める。


そんなプロセスが、インタビューやセラピーの実践を交えながら描かれている。


「ホドロフスキーさんみたいなセラピーができる人になりたい」

観る前に耳にしていた友人の言葉の意味が、わかったような気がした。


「無意識が現実世界に影響を与える」というのはよく言われること。

でも、監督が実践するこの「サイコマジック」は、

想念を現実化することで(行動して体験させてあげることで)、無意識を癒してあげること。

ホド監督「つまり逆なんだ」


幻想かもしれないこの自分の体、五感。

でも、それをフルに使ってする「経験」こそが、自分の傷を癒してくれるという論理に、ちょっと感動。


そんなことで変わるわけないやん、と、思ってたけど、

信じるか信じないかじゃなくて、やってみたらただわかること、なのかも。

それは、父へ手紙を書くという行為も「サイコ・マジック」だったということに、

映画を観終わったあと、ふと気づいたからでした。



そして、もうひとつ。

友人と話していたこと「たぶん何をするかは重要じゃない」。


サイコ・マジックはたぶん、時間を断ち切って前に進むための、

それぞれにとって、とことん主観的でいい、「儀式」のようなもの。


だから、バカバカしくても、チープな材料でも、

ささやかなことでも、何でもいい。

ホドロフスキー監督みたいに大きな予算はもらわれへんけど、自分でも実践できるもののはず。


・・・


◆『サイコ・マジック』

心理の現場の友人たちにも、ぜひ観て欲しいと思った。

また、監督はタロットよりもカルト映画の鬼才としての方がより知られているので、そんな映画好きの方などにもお勧めです。


大阪では梅田のスカイビルにある「シネ・リーブル」にて公開中。

ご興味ある方は、ぜひ。


「タロットは占いじゃない。未来を見るものじゃなくて、現在を映し出すものだ。」

アレハンドロ・ホドロフスキー


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《月1タロットリーディング@桜井バル/再開のお知らせ》


◆ 日程 ◆

2020年6月27日 (土曜日) 17:00〜21:00


※ご予約が埋まりやすくなっております。お早めの事前ご予約をお勧めします。

ご予約 : yasmine.handworks@gmail.com

場所:『桜井市場ワールド食堂&バル』2F 個室スペース

大阪府箕面市桜井2-10-5 桜井商店街内


◆ MENU ◆


Full reading (50min) / ¥ 5,000

ホドロフスキー&カモワン版マルセイユタロットの全ての展開法を、お一人おひとりにとって必要な形にアレンジして使います。時間内で複数のご質問をされたい方や、メソッドを全て使い、本格的なリーディングを受けられたい方へ。


Half reading (25min) / ¥ 2,000

ホドロフスキー&カモワン版マルセイユタロットの特徴を取り入れた、シンプルな展開法を使います。初めての方や占い的にインスピレーションで見てみられたい方、また現在を起点とした大きな流れを含めて見てみられたい方へ。



Yasmine.Handworks

Musisian / Psycho-Therapist (公認心理師) / Psychological-Astrologer(心理占星家) / Bistro TOKITAMA / REIKI Master なんのために生まれて なにをして生きるのか こたえられないなんて そんなのはいやだ 今を生きることで 熱いこころ燃える だから君はいくんだ ほほえんで 「アンパンマンのマーチ」より